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近畿地方某山域(2023年11月下旬発生)

  • 執筆者の写真: 陽介 深澤
    陽介 深澤
  • 6月5日
  • 読了時間: 2分

1.概要

捜索現場の地形

山域全体が紅葉樹林帯だが、日当たりの良いところは針葉樹の植林地帯もある。また人の歩かれていない場所は低木が生えており藪で歩きづらい。登山道は斜面をトラバースしたり、尾根を歩いたり、沢沿いを歩いたりと狭い山域の中に複雑な地形が入り組んでおり、大変迷いやすい地形である。


2. 発生状況と経緯

・11月28日(火):日帰り登山として入山。

→ 警察による車両追跡から、入山時間は11〜11時30分と推定。

→ 登山計画書未提出、山岳保険未加入、軽装(スニーカー・雨具不携行の可能性)。

・11月29日(水)朝7時30分:女性よりご家族へ「雨が降って野宿した、今から降りる」とのメール。

→ その日中の帰宅を想定するも帰宅せず。



3. 原因分析

【直接原因】

・沢沿いの下山ルートで道を誤り、滝の高巻き中に滑落したことによる死亡。


【間接原因】

・登山計画書未提出および位置情報アプリの未使用。

・気象条件の悪化および適切な退避判断ができなかった可能性。

青矢印へ少し上り返して進むのが正規ルート。赤矢印に進むと沢沿いに下り滑落した滝に出くわす。  
青矢印へ少し上り返して進むのが正規ルート。赤矢印に進むと沢沿いに下り滑落した滝に出くわす。  


4. 対応・捜索活動

警察による捜索

・11月30日(木)女性からの電話の翌日、捜索初日:ご家族が警察に連絡。麓のキャンプ場に車を確認。

→ 警察が2ルートから入山し捜索。山頂付近でビバークした可能性、滑落痕は雨で消失した可能性を指摘。

・12月1日(金)捜索2日目:雨天のため捜索中止。

・12月2日(土)捜索3日目:みぞれのため捜索実施なし。車両のみ回収。


民間捜索隊による捜索

・12月3〜5日:民間山岳遭難捜索隊「マウンテンワークス」による捜索が実施。

→ 捜索3日目の12月5日、ご夫婦を発見。

→ 沢沿いの登山道を間違えて下山し、滝の高巻き中に滑落して死亡したと推定。

発見現場の様子
発見現場の様子
滝右側の斜面より滑落したと思われる。
滝右側の斜面より滑落したと思われる。

5.捜索エリアと発見場所

入山口:S   下山予定地:G

青線:遭難者が計画していた登山ルート(登り・下り)

赤線:遭難者が滑落したとされるルート(下山時)

✖印:遺体発見地点

緑線:民間捜索チームによる捜索範


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