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【連載ルポ】STOP 遭難! あなたは遭難しないために何をしていますか?@白馬大池 <file.003>

更新日:2020年12月5日

山岳遭難の増加を止めたい!遭難防止のヒントを得るため、登山者のみなさんは遭難しないためにどんなことをしているのか?どんな想いで登っているの?突撃インタビューさせていただき、登山者のホンネをうかがいます。

 

2019年7月末日

天気:晴れのち曇り

場所:北アルプス白馬大池テント場

登山者:島津 好男さん(58歳)

登山歴:学生の頃から30~40年

所属会:東京の山岳会

山岳保険等:jRO加入



2019年夏山シーズン初めは、昼は天気が良く夕方には激しい雷雨となる日が続きました。そのような時期に、白馬大池にテントを張られた、対照的な単独登山者2人にインタビューさせていただきました。お一人目は、正午にはテントを張り終え、リラックスした服装にサンダルで、白馬大池を眺めて、のんびりとされている登山者にお話を伺いました。


Q. 今回の登山ルートは?

A. 栂池から登ってきたよ。明日白馬往復して、また栂池におります。


Q. 今回の登山で心配なことはありましたか?

A. 午後は雷雨が心配なので、午前中に行動は終わりにしたいと思ってたよ。


Q. 普段どのくらい山に登りますか?

A. 白馬に住んでいるので、地元の山によく登るよ。


Q. いつもお一人ですか?

A. 会の仲間や新人を連れて山に登ることも多いよ。


Q. 山岳会で新人等を指導されているのですね。そのような方に伺うのも大変失礼ですが、遭難しない自信はありますか?

A.

遭難はわからないね。

やっぱり歳をとると足腰は弱ってくるしね。

転んで怪我をする心配もあるからね。

歳をとると、運動神経や筋力も弱ってるでしょ。

だから年配の人は、ゆっくり歩かないと危ないよね。

単独の山では特に、怪我をしたら危ないからね。


Q.遭難しないために何をしていますか?

A. 着るものは多めに持つよ、ダウンは必ず持っていく。

遭難しても、1晩2晩は凌げるくらい食糧は持っているよ。

テント2泊とか宿泊が増えれば、常に、プラス、プラスで食糧は持っていくようにする。


Q.必ず山に持ってくるものはありますか?

A. ツエルトはいつも持つようにしてます。


Q.最近の登山者を見ていて、思うことなどありますか?

A. 外国の方が多いよね。雪の多いところでも増えている。よく道を聞いてくるね。


Q.登山者に伝えたいことはありますか?

A.

やはり自分が大丈夫かなと思う山より、1つ下のレベルの山に行った方が良い。

安全を優先して山に行った方がいいね。

山に行って、大変だったな、危なかったなと思ったら、次は1つレベルを落とした山に登るようにすると良いね。

山岳遭難捜索ネットワーク 遭難防止インタビュー

今回インタビューさせていただいた島津さんは、習慣的に山に登り、所属する山岳会では若者を育成する指導的立場の方。長年の登山で培った経験や知識を生かし、山では余裕のある時間を過ごされていました。安全登山の意識も高く、何よりご自分の身体の状況をよく把握されていました。


豊富な山の知識や経験から、登山に対して不安要素はほとんどないのでは?と思いましたが、ご本人は、年齢による身体機能や認知機能の低下を大変気にされ、とにかく慎重でした。人それぞれ身体の衰え方は異なりますが、歳を重ねるにつれての危険要素は誰にでも増してくるものです。そして、山を知るほど山の怖さというものは身にしみて感じるものですが、「山」を知っている人にとって年齢による衰えは脅威なのだと、今回のインタビューから改めて感じました。


定年退職して登山を始める方も多く、中高年登山者の遭難が多いことは指摘されています。中高年登山者は、身体能力・認知機能低下が遭難発生に直に繋がり得ることを知り、自身の能力を認知することが遭難予防のキーポイントです。自分の状態を把握し、維持・向上する。そして、自分に見合った山を選ぶ必要があります。


今回島津さんにお話を伺い、慎重・冷静であり余裕を持った登山、自分を分析し弱点を知り対策をとって山に向かうことは、やはり安全登山の条件だと思わせます。己を知り、不安要素を可能な限りクリアし、山を楽しみたいものです。


島津さん、ご協力ありがとうございまいした。


※個人情報について、ご本人の了解のもと、公開させていただいております。

※インタビュー内容は、ご本人の回答に若干の編集を加えております。ご了承ください。

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