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【連載ルポ】STOP 遭難! あなたは遭難しないために何をしていますか?@白馬大池 <file.003>

最終更新: 2019年9月29日

山岳遭難の増加を止めたい!遭難防止のヒントを得るため、登山者のみなさんは遭難しないためにどんなことをしているのか?どんな想いで登っているの?突撃インタビューさせていただき、登山者のホンネをうかがいます。

2019年7月末日

天気:晴れのち曇り

場所:北アルプス白馬大池テント場

登山者:島津 好男さん(58歳)

登山歴:学生の頃から30~40年

所属会:東京の山岳会

山岳保険等:jRO加入



2019年夏山シーズン初めは、昼は天気が良く夕方には激しい雷雨となる日が続きました。そのような時期に、白馬大池にテントを張られた、対照的な単独登山者2人にインタビューさせていただきました。お一人目は、正午にはテントを張り終え、リラックスした服装にサンダルで、白馬大池を眺めて、のんびりとされている登山者にお話を伺いました。


Q. 今回の登山ルートは?

A. 栂池から登ってきたよ。明日白馬往復して、また栂池におります。


Q. 今回の登山で心配なことはありましたか?

A. 午後は雷雨が心配なので、午前中に行動は終わりにしたいと思ってたよ。


Q. 普段どのくらい山に登りますか?

A. 白馬に住んでいるので、地元の山によく登るよ。


Q. いつもお一人ですか?

A. 会の仲間や新人を連れて山に登ることも多いよ。


Q. 山岳会で新人等を指導されているのですね。そのような方に伺うのも大変失礼ですが、遭難しない自信はありますか?

A.

遭難はわからないね。

やっぱり歳をとると足腰は弱ってくるしね。

転んで怪我をする心配もあるからね。

歳をとると、運動神経や筋力も弱ってるでしょ。

だから年配の人は、ゆっくり歩かないと危ないよね。

単独の山では特に、怪我をしたら危ないからね。


Q.遭難しないために何をしていますか?

A. 着るものは多めに持つよ、ダウンは必ず持っていく。

遭難しても、1晩2晩は凌げるくらい食糧は持っているよ。

テント2泊とか宿泊が増えれば、常に、プラス、プラスで食糧は持っていくようにする。


Q.必ず山に持ってくるものはありますか?

A. ツエルトはいつも持つようにしてます。


Q.最近の登山者を見ていて、思うことなどありますか?

A. 外国の方が多いよね。雪の多いところでも増えている。よく道を聞いてくるね。


Q.登山者に伝えたいことはありますか?

A.

やはり自分が大丈夫かなと思う山より、1つ下のレベルの山に行った方が良い。

安全を優先して山に行った方がいいね。

山に行って、大変だったな、危なかったなと思ったら、次は1つレベルを落とした山に登るようにすると良いね。


今回インタビューさせていただいた島津さんは、習慣的に山に登り、所属する山岳会では若者を育成する指導的立場の方。長年の登山で培った経験や知識を生かし、山では余裕のある時間を過ごされていました。安全登山の意識も高く、何よりご自分の身体の状況をよく把握されていました。


豊富な山の知識や経験から、登山に対して不安要素はほとんどないのでは?と思いましたが、ご本人は、年齢による身体機能や認知機能の低下を大変気にされ、とにかく慎重でした。人それぞれ身体の衰え方は異なりますが、歳を重ねるにつれての危険要素は誰にでも増してくるものです。そして、山を知るほど山の怖さというものは身にしみて感じるものですが、「山」を知っている人にとって年齢による衰えは脅威なのだと、今回のインタビューから改めて感じました。


定年退職して登山を始める方も多く、中高年登山者の遭難が多いことは指摘されています。中高年登山者は、身体能力・認知機能低下が遭難発生に直に繋がり得ることを知り、自身の能力を認知することが遭難予防のキーポイントです。自分の状態を把握し、維持・向上する。そして、自分に見合った山を選ぶ必要があります。


今回島津さんにお話を伺い、慎重・冷静であり余裕を持った登山自分を分析し弱点を知り対策をとって山に向かうことは、やはり安全登山の条件だと思わせます。己を知り、不安要素を可能な限りクリアし、山を楽しみたいものです。


島津さん、ご協力ありがとうございまいした。


※個人情報について、ご本人の了解のもと、公開させていただいております。

※インタビュー内容は、ご本人の回答に若干の編集を加えております。ご了承ください。

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