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中部地方某山域(2024年11月下旬発生)

  • 執筆者の写真: 陽介 深澤
    陽介 深澤
  • 5月2日
  • 読了時間: 3分

1.概要

捜索現場の地形

山域は針広混交林であり、山頂付近は笹原。瘦せた尾根の樹林帯の岩稜で山頂に向かいいくつか小ピークを越えていく地形である。発見現場はナメ滝の下で側壁もそこそこ立っている。

 


 2.発生状況と経緯

遭難者は登山、当日午前中に自宅を出発し、登山口付近の駐車場に車を停めたと推定される。


その後の消息は不明となり、翌々日の夕方、地域住民の方から「駐車場に車が長時間駐車されている」との通報があり、警察が動き出した。


3日目(通報のあった翌日)警察が本人自宅に立ち入り、連絡先を確認の上、家族へ連絡。

同日午後、正式な捜索活動が開始された。


地域住民の方の証言によれば、「登山口付近の駐車場に車を停める登山者は山頂を目指すケースがほとんど。」と言う証言もあり、本人も山頂に向かった可能性が高いと推測された。


山頂到達後、来た道を戻り、1208m地点を誤って北方向に進行した可能性が考えられる。

北側には踏み跡も存在するが標識がなく、道迷いリスクが高い。

1208m付近の様子。青矢印の方向が正規のルートであるが、地形が平坦で赤矢印の方向へ迷い込んでしまった。
1208m付近の様子。青矢印の方向が正規のルートであるが、地形が平坦で赤矢印の方向へ迷い込んでしまった。

3.原因分析

直接的原因

 ・山頂到達後、来た道を戻る途中、1208m地点で北方向へ誤進した可能性。

 ・北側には踏み跡は存在するが、標識が設置されておらず道迷いリスクが高かった。

間接的原因

 ・冬季に近い時期だったため、天候の悪化や日没時間短縮によるリスクも想定される

 ・考察:発見時の状況から、体力の消耗、低体温症、滑落等が発生した可能性も考えられるが、遺体の損傷状況により詳細特定は困難。



4. 対応・捜索活動

3、4日目:警察による捜索実施(発見に至らず)

 ・捜索活動は一旦終了し、以降は目撃情報をもとに対応する方針へ移行

 ・付近市街地については警察による巡回捜索が継続

5日目:本人車両を開錠(私靴から登山靴に履き替えた形跡はあるものの、登山へ向かった確証は得られず。)

12月以降:目撃情報提供のチラシを掲示

【初動捜索範囲】

・北側、南側の登山口、登山道周辺

・北側の河川沿い

・付近の市街地

【捜索上の補足情報】

山域は行き止まりが少なく、南側の尾根にも登山道が整備されている。道迷い後の行動範囲拡大のリスクが高い。

本人と思われるご遺体は年明け後の2025年4月下旬に発見されたが、発見時にはご遺体は骨化しており、荷物や遺留品が周辺に散乱していた。

また、冬から春にかけて獣等による移動があった可能性が高く、死亡地点と発見地点が一致しない可能性が指摘される。

発見現場、周辺の沢の様子
発見現場、周辺の沢の様子
冬の間に散らばってしまった持ち物
冬の間に散らばってしまった持ち物

5.捜索エリアと発見場所

入山口:S   下山予定地:G

青線:遭難者が計画していた登山ルート(登り・下り)

赤線:遭難者が実際に歩いたと推定されるルート(下山時)

✖印:遺体発見地点

緑線:民間捜索チームによる捜索範囲

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